栄養バランス意識している?

食事も生活もちょっと見直すだけで変わるかもしれません。この機会に日常生活を見直してみましょう。

「自分は大丈夫」と思っていても、実は必要な栄養素が足りていないことはよくあります。知らず知らずのうちに、妊娠・出産に関わるリスクや体調不良の原因を抱えていることもあるのです。

そこで今回は、バランスのよい食事や特に大切な「葉酸」、喫煙や飲酒がもたらす影響について、わかりやすく説明していきます。

実はあなたも栄養不足かも?20~30代女性の5人に1人が栄養不足?!

「私もあの人みたいにスリムになりたい!」「痩せている方がいろんなファッションを楽しめる」——そんなふうに、“痩せたい”という気持ちが高まることもあるかもしれません。

でも、実は20~30代女性の5人に1人は、「痩せ」の状態にあることを知っていますか?(*1)

「痩せ」は、ただの見た目のことだけではなく、カラダに必要な栄養が足りていない状態です。「痩せ」になると、貧血や冷え性、月経異常や無月経、骨粗しょう症など、さまざまな健康トラブルのリスクが高まります。

さらに、女性が「痩せ」の状態のままで妊娠すると、生まれてくる赤ちゃんが体重2500g未満の低体重児になる可能性も。低体重で生まれた赤ちゃんは、将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかるリスクが高くなることもあるのです(*2)。

だからこそ、自分の健康を守るために、そして将来生まれてくるかもしれない赤ちゃんのためにも、低栄養にならない食生活を意識することが大切です。

1日に何をどのくらい食べればいいの?

まずは1日3食しっかり食べることを意識しましょう。

具体的には、主食(ごはん・パン・麺)、副菜(野菜・きのこ・いも・海藻料理)、主菜(肉・魚・卵・大豆料理)、牛乳・乳製品、果物の5つのグループをバランスよく食べることが大切です。

図:食事バランスガイド

コンビニを利用しても実践できる!
手軽に主食・主菜・副菜をとるポイント

忙しいとつい、食事をコンビニなどで買って済ませることが多くなりがちですよね。

でも、コンビニで買うときに、主食(ごはんやパン、麺類)だけになってしまうことはありませんか?

実は、ちょっとだけ意識して、主菜や副菜になるような食品を1つプラスするだけで、簡単に栄養バランスのよい食事に近づきます。

コンビニで手軽に栄養バランスを整えるポイント*2

忙しい日でも実践しやすいので、ぜひ今日からちょっと意識してみてください。

妊娠前から必要!赤ちゃんのためのビタミン「葉酸」

日本人女性が不足しやすいビタミン・ミネラルの中でも、特に意識して摂りたいのが「葉酸」です。

「葉酸」は、ほうれん草やブロッコリーといった緑黄色野菜、納豆、いちごなどに多く含まれているビタミンの一つです。貧血の予防や赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らすために、とても大事な栄養素でもあります。

妊娠初期の方はもちろん、妊活中の方や将来のために備えている方も、日頃の食事やサプリメントからしっかり葉酸を摂ることが大切です。

葉酸は1日にどのくらい摂ればいいの?

妊娠の可能性がある方や妊娠を計画している方の場合、赤ちゃんの神経管閉鎖障害を予防するために、WHOは1日400~800μgの「葉酸」を摂ることを推奨しています。

ただし、「葉酸」はたくさん摂ればいいというわけではありません。サプリメントを利用する場合は、過剰摂取にならないように注意しましょう。

※厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)より

「葉酸」摂取を心がける時期はいつ?

赤ちゃんの神経管閉鎖障害を予防するには、妊娠前から妊娠初期までの間に、しっかりと葉酸を摂ることが大切です。

神経管閉鎖障害とは、赤ちゃんの神経管ができるとき(妊娠6週頃)に起こる先天的な異常です(*3)。

多くの場合、妊娠に気が付くのは次の生理予定日を過ぎてからになります。その頃には、神経管ができる時期を過ぎている場合もあるため、妊娠を考え始めたら、普段から緑黄色野菜を積極的に取り入れ、サプリメントも上手に活用しながら「葉酸」を十分に摂取しましょう。

禁煙はじめてみませんか?~禁煙外来もおすすめ~

すでに多くのメディアでも注意喚起されている通り、タバコはがんや心臓病をはじめ、さまざまな病気の原因となるだけでなく、男女ともに不妊症のリスクも高めます。

特に妊娠している女性の喫煙や受動喫煙は、流産や早産、周産期死亡、低体重出産につながるおそれがあります(*4)。自分だけでなく将来生まれるかもしれない赤ちゃんのためにも、タバコはできるだけやめたほうがよいでしょう。

とはいえ、禁煙に挑戦したものの失敗してしまったという経験がある人も多いかもしれません。そんな時は、禁煙外来の受診を検討してみるのもよい方法です。医師のサポートと禁煙補助薬により、無理なく禁煙できます。

また、「煙が少ない加熱式タバコなら大丈夫なのでは?」と言う人もいますが、WHO(世界保健機関)は加熱式タバコも紙巻きタバコと同様に健康上のリスクがあると指摘しています。

健康な未来のために、今から禁煙に向けた一歩を踏み出してみませんか?

お酒が赤ちゃんに影響することも!~胎児性アルコール症候群の原因に~

妊娠中の飲酒は、お腹の赤ちゃんにも影響を与えることがあります。

具体的には、胎児性アルコール症候群や流産・死産、先天異常、発達障害、器官形成不全など、さまざまなリスクが挙げられます(*4)。妊娠中、どれくらいの量のアルコールなら大丈夫かの目安もはっきりしていません。妊娠中はお酒を飲むのをやめましょう。

妊娠を考えている方も、妊娠に気付かない時期にアルコールを摂取してしまうことも考えられます。妊娠の可能性がある時期は、アルコールを控えることをおすすめします。

自分にも赤ちゃんにも悪影響を及ぼす!危険ドラッグ・有害物質

危険ドラッグや有害物質(大気汚染や水銀、シンナーなど)は、自分のカラダに悪いだけでなく、将来生まれるかもしれない赤ちゃんの健康にも影響を与える可能性があります。

特に危険ドラッグや麻薬は、絶対に手を出してはいけません。

「プレコンセプションケア」では、自分の生活習慣を見直すことも大切です。

バランスのよい食事や禁煙・禁酒を心がけることは、将来の選択肢を広げることにつながります。

少しずつできることからはじめてみませんか?

出典
*1 2023年 国民栄養・健康調査(厚生労働省)
*2 若い女性の健康と食事 東京都西多摩保健所 保健医療局
*3 日本小児科医会
*4 産婦人科 診療ガイドライン―産科編 2023(公益社団法人 日本産科婦人科学会/公益社団法人 日本産婦人科医会)