産まない選択をした場合

不妊治療をあきらめて産まない選択をした人、結婚前から夫婦二人で生活することを決めた人、事情はそれぞれですが、子供を産む、産まないは個人の選択肢。

しかし、産む人と産まない人ではそれぞれ病気のリスクが異なります。つまり、産んだ人がかかりやすい病気、産まない人がかかりやすい病気があるということ。ここでは、産まない選択をした人が注意したい病気について解説しましょう。

かかりやすい病気

妊娠・出産をしないということは、長期間女性ホルモンの「エストロゲン」にさらされているということ。このエストロゲンの過剰な刺激によって起こる病気があり、次のような病気が挙げられます。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉の一部がこぶ状に変化してできる良性腫瘍です。それ自体が生命を脅かすものではありませんが、放置していると赤ちゃんの頭くらいに大きくなってしまうことも。筋腫があると、経血量が増えて貧血になりやすくなったり、生理痛がひどくなってきます。

今までと比べて経血量が多くなってきた、生理痛がひどく、痛み止めが効きにくくなってきたなど生理の状態に変化が現れたら、早めに婦人科を受診しましょう。

子宮内膜症

子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜が、卵巣や腹膜といった子宮以外の場所で増殖と剥離を繰り返す病気。
卵巣の中に子宮内膜症ができた場合、そこに血液がたまり、卵巣が腫れてきます。たまった古い血液がチョコレートのように見えるので「チョコレートのう胞」と呼ばれます。

激しい生理痛がこの疾患の特徴で、生理を繰り返すごとに痛みがひどくなっていきます。日常生活に支障をきたすほどの生理痛がある場合、我慢をせず婦人科を受診するようにしましょう。

乳がん

日本で年々増加しており、日本人女性がかかるがんのなかで最も多いのが乳がん。2018年には9万人の日本人女性が乳がんにかかると予測されました。乳がんの多くは、エストロゲンの刺激によって発生します。
つまり、妊娠・出産経験がない、もしくは回数が少ない人、初潮が早かった人、閉経がおそかった人などが乳がんのリスクが高いと言えます。
また、脂肪細胞からもエストロゲンが分泌されているので、肥満の人も乳がんのリスクが高くなります。乳がんは、早期に発見できれば90%以上が治る可能性があると言われているので、早期発見・早期治療が大切。乳がんは、唯一自分で触って見つけられるがんです。月に一回の自己検診をすることで、早期発見につながります。また、40歳になったら定期的に乳がん検診を受けるようにしましょう。

家族に乳がんの人がいる場合も乳がんのリスクが高く、若年で発症することもあるので、30歳になったら検診を受けるようにしましょう。

子宮体がん

子宮の内側にある子宮内膜から発生するがんで、現代女性に増えているがんのひとつ。
子宮体がんの多くは、乳がんと同じようにエストロゲンと深いかかわりがあり、妊娠・出産経験がない、もしくは回数が少ない、肥満、閉経が遅いなど、エストロゲンの刺激に長期間さらされている人ほど、子宮体がんの発生リスクが高くなります。

日本では40代から徐々に増え、50代~60代といった閉経前後の年齢層がピークとなっています。

子宮体がんは、初期に不正出血が起こることが多いため、比較的早期に発見されやすいがん。閉経したにも関わらず少量の出血が続く場合には早めに検査を受けましょう。
また、現代女性に増加傾向のがんなので、閉経前であっても注意が必要です。より早い段階で治療ができれば、子宮体がんの5年生存率は90%以上。早期発見・早期治療が大切です。

選択後の過ごし方

子どもを産まない=エストロゲンにさらされる期間が長いということ。
「美のホルモン」とも言われるエストロゲンも、過剰な刺激で病気を引き起こすことも。昔と違って子どもを産む人数が少ない現代女性は、それだけでリスキーとも言えますね。

産まない選択をしたあとも、キレイと健康を維持してイキイキと過ごすためには、定期的に検診をして疾患の早期発見に努めることが大切。
また、日々自分のカラダとココロと向き合って、何らかの不調があれば、生活習慣を見直すとともに、婦人科を受診して相談してみましょう。気になる不調を気軽に相談できるパートナードクターを持つと安心ですね。