男性不妊について

不妊症の原因は女性にあると思われている方もいるかもしれません。
しかし、世界保健機関(WHO)が行った調査によると、男女ともに原因があるケースを含め、男性に何らかの原因がある場合の割合が約半数とされています。不妊は男女二人の問題だという意識を持ち、パートナーと一緒に治療に取り組むことが大切です。

男性不妊かどうかを調べる「精液検査」ってなに?

精液検査は、男性不妊の検査のひとつです。精液の量に加え、精液中の精子の数(濃度)、精子の運動率や運動の質、精子の形態、感染の有無などを調べます。
精液の状態は、体調やストレスなどの影響を受けるため、最初の検査で結果が悪くても、再検査で問題なしと判断されることもあります。精液検査で異常があった場合は、男性器の視診や触診、血液中のホルモン検査など、泌尿器科的な検査を行います。

男性不妊の原因と治療法って?

男性不妊の原因には、精子に何らかの問題がある「造精(ぞうせい)機能障害」や、セックスがうまくできない「性機能障害」、精子はつくられているのに精子の通り道(精路)に障害があって通過できない「精路(せいろ)通過障害」などがあります。

造精機能障害

日本人男性不妊の原因の約8割を占めています。精子の数や状態によって治療法が変わります。

性機能障害

ストレスなどが原因でセックスのときに勃起できない「ED(勃起障害)」や、勃起はしても腟内射精が困難な「腟内射精障害」があります。勃起障害治療薬などで治療したり、人工授精を行ったりします。

精路通過障害

精路が閉塞している部分を取り除いて再建する「精路再建手術」を行います。手術により精路通過障害を解消できれば、自然妊娠も期待できます。

男性の加齢は「妊娠させる力」に影響する?

男性の精巣では、生涯を通じて毎日精子がつくられています。そのため「男性は年齢に関係なく妊娠力がある」と思われがちですが、実は、精子の数や運動率の低下など、男性の精子の質も35歳を過ぎると少しずつ低下するといわれています。
女性の不妊検査は種類が多く時間もかかりますが、男性側は基本的に精液検査のみ。痛みもなく通院も必要ないので、男性も女性と同じタイミングで受診し、早めに検査を受けられるとよいですね。

乏精子症

症状:精子が少ない状態

治療法:人工授精、体外受精、顕微授精

精子無力症

症状:精子の運動率が悪い状態

治療法:人工授精、体外受精、顕微授精

無精子症

症状:精液の中に精子が全く見当たらない状態

治療法:精菅閉塞(せいかんへいそく)がある場合は精路再建手術、精巣精子採取術(TESE)※後に顕微授精など

※陰嚢を0.5cm〜1.0cmほど切開して精子を取る手術。取り出した精子を顕微授精で卵子と受精させます。

精子不動症

症状:精液の中で精子が全然動かない状態

治療法:精子生存率検査で精子の判別を行う

精索精脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)

症状:精巣から静脈の血流が滞ってこぶ状に膨らむ病気。精巣温度が上昇し、精子の形成異常や運動率低下などの影響を及ぼす。

治療法:精索精脈瘤手術、人工授精、体外受精など